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zoom RSS ★ 立山BC (前編) 【2009年4月17日】

<<   作成日時 : 2009/04/19 01:30   >>

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深夜のドライブも久しぶりの事





山間の暗闇を抜けるとやがて駅舎の明かりが見えてくる
時刻は深夜0時過ぎ
無料の駐車場に車を止めてすぐにシートを倒した





車のルーフを叩く雨音で時々目を覚ました
久しぶりの浅い眠りは5時間ほど
ぼんやりしながら朝食をとっていると立山始発の列車がゆっくりと走り出した





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立山黒部アルペンルートはこの日が全線開通
全線開通当日に室堂へ向かうのはこれが3回目
往復切符を買い、次第に賑わっていく駅舎の中で荷物をチェックした





7時ちょうどの始発を待っていると若干の遅れがアナウンスされる
昨夜は雪が降った様子で除雪作業が遅れているとの事
天候はどうあれ新雪を踏める事だけは確実らしい





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ほぼ満員のケーブルカーを降りるとバスが2台待機していた
手荷物料金を支払って進行方向に向って左側の席を確保
ガスで視界がほとんどない道をバスは滑るように走り出した





車窓から見える道路はいつしか雪道に変わっていた
室堂に到着しても景色は相変わらずガスの中
小さな氷の粒が頬を叩いた





前日の夜からなんとなく妙な予感があった
立山はきっと晴れる
雲海の上に広がる真っ青な空があるはずだ と





しかし到着してみると現実は正反対
予報通りといえばその通りだが‥
あの確信的な予感はいったい何だったんだ





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次々と到着する多くの人々で室堂ターミナルは今年もかなりの混雑
だが外界の様子は残念ながら視界ゼロの厳しい冬山
それでも完全武装の登山者やスキーヤーがポツリポツリと白い闇に吸い込まれていく



今年もまたこんな天候か‥



しばらくターミナル内で停滞していたがあまりにつまらない
数十メートルほど視界が利くようになった事を確認して歩き出した
どうせ停滞するならここより「みくりが池温泉」の方がいい





スキーが風に飛ばされそうだったのでシールをつけて履いて歩いた
いざ外に出てみると横殴りの吹雪がなぜか心地いい
気温は氷点下近くまで下がっているはずだが歩いていると暑くてたまらない





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みくりが池温泉の喫茶「みくり」はほぼ満席
多くのスキーヤー、ボーダーが停滞を決めている様子
ガラス越しに外を眺めていると次々と人々が到着する
更に歩いて先へ向かう人々は雷鳥荘へ向かっているのだろう





ザックを見ればほとんどの人々が泊まりで来ている事が判る
週末となる翌日からは晴天の予報
羨ましく思いながら煙草に火をつけた





火曜日(14日)の休日はかぐらにいた
天候が良ければ神楽が峰まで行くつもりだった
だがそれまでずっと続いていた晴天が予報通りに崩れた
人もまばらなゲレンデで小雨の中過ごした記憶が蘇った





時計の針は午前10時を過ぎていた
話を伺うとほとんどの方々がリピーター
この日、テレマーカーは数えるほどだった





時間もあるので温泉に浸かろうかと思ったがそれではその後歩けなくなる
GPSの実践練習も兼ねて体を暖めようかと考え外に出た
ビーコンのスイッチを捻り、まだ視界が回復しない雪原の中を再び歩き出した





みくりが池を反時計回りに歩いて室堂山荘方向へ
天候は少しずつ回復へ向かっているように感じられた
やがてブルで踏み固められた道とその道を行きかう人々の影がガスの中に浮かび上がった





そのまま行けば正面には浄土山があるはずだ
時折GPSで現在位置を確認しつつ白い闇の中をそのまままっすぐに歩いていった
目前に見える真っ白な雪面は少しずつ勾配を増していった





視界はいい時でも数十メートルほど
悪い時は自分の足元しか見えない
やがて前方に黒っぽい岩のようなものがぼんやりと見えてきた





あまり上まで行ってもこの状況ではまともに滑って降りれないだろう
斜面途中で素早く滑降の準備をして、視界がよくなる瞬間を見計らって滑り出した





新雪がさらっと積もった雪面はフラットでとても滑らかだった
スキーの走りもスムーズだが滑りすぎる感覚に慣れず転倒
視界が悪くて滑っているのか止まっているのかがよくわからない





その後は落ち着いてターン孤を描くことができた
だが振り返ってもそれを見ることはできなかった
ポールが立ち並ぶあの道が視界に入ったのは僅かに十数秒後の事だった





歩いてきた雪原をそのまま温泉に戻っていった
二度の小さなアップダウンを越えて再びみくりが池温泉に到着
喫茶を覗くとほぼ同じメンバーがまだ停滞中だった





空腹を感じたのでレストランで早目の昼食とした
なぜかザックの中の食糧に手をつけるのが億劫だった
久しぶりに体を動かしたせいかとても美味しい食事だった





食事を終え、再び外の様子を伺った
小さな青空が風に乗って流れていく様子が目に留まった
時刻は既に12時半





流れる青空の大きさはみるみる広がっていった
天候が回復へ向かっている事は間違いない
気がつくと多くのスキーヤーが出発の準備を始めていた





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歩き始めると青空はすぐに消えて時折ガスが視界を阻むようになった
それでもガスが消えると雷鳥沢方向の景色がパーっと広がった
やや強めの風に期待をしながらみくりが池に沿って時計回りに歩いていった





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改めて目にした雷鳥沢は結構急な斜面に見えた
超メジャーなルートだが自分にはちょっと厳しそうな感じがした
状況によってはと思っていたが





やがて室堂山荘の建物が近づいてくる
頭上を通り過ぎていく雲の切れ間が次第に大きなものへと変わっていく
天候はゆっくりと確実に回復へ向かっている





そのまま浄土山と室堂山の鞍部へ向かって雪面を登っていく
視界は時折ガスに隠れることもあるが概ね良好な状態が続いた
上部はまだ全く見えないが時間の問題だろう





中腹の斜度がやや落ち着いた場所で立ち止まった
振り返るとターミナルがハッキリと確認できる
上部はガスに覆われていてよく見えないが斜度は更に厳しくなる様子





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ガスの中、しかも急斜面では行動したくない
そう考えてその場所で滑降の準備をした
その間に眼下の景色は驚くほどの速さで変わっていった





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これだけ見えれば不安はない
左方向への斜滑降、すぐに右ターン
柔らかくフラットなバージンスノーの上で面白いようにターンが決まる





上体をきちんと使って加重は丁寧に
スキーを無理に回しこまないように
落下速度にきちんと乗り、動きはゆっくりと





言葉にできない開放感が心を自由にする
この瞬間のために練習を重ねてきたのだ
ここに来るためにあの道を何度も通ったのだ





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斜度が落ちたところで立ち止まりザックを降ろした
たいした滑りではないがそれでも昨年よりずっと進歩した実感があった
こんな素晴らしい斜面を滑る機会もそう多くはないだろう





途切れがちだった青空は繋がってさらに広がり、頭上の空間はあっという間に高くなった
滑ってきた斜面の上部も少しずつ晴れてきた様子
再びスキーにシールを貼った





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稜線へ向けて三度目のハイクアップを始めた
ほんの少し前に滑り出した地点を過ぎ、更に上を目指した
途中斜度がキツい箇所はちょっと緊張したが
鳥海山や月山の時に比べればどうってことはない





ターミナル方向を振り返ると真っ白な奥大日岳
反対側を振り返れば少しずつ姿を見せていく剣岳
その姿は声が出るほど美しい
そういえば山を登るのも久しぶりだ





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少しずつ緩やかになっていく斜面を強い日差しが照らし始めた
ぼんやりとしか見えなかった浄土山のピークも次第に白くクッキリと見えるようになった
ターミナルが見えないその場所で標高二千bを越える山岳地帯にいる事を改めて実感した





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鞍部は広い雪原になっていた
浄土山のピークがすぐ目の前に聳え立っている
その山頂へ向かう斜面は斜度もありちょっと厳しそうな感じ
稜線の先、立山カルデラ方向は残念ながらガスで何も見えない





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ザックを降ろして振り返るとやはり剣岳の姿に目を奪われる
前を行く数名のパーティーはまだ先へ向かう様子
その場所からの滑降と決めてそのまま雪原に寝転んだ





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先行のパーティーが見えなくなると静寂が訪れた
いつの間にか風も弱くなり聞こえてくる音はほとんど無い
その場所に残る数本のトレースとシュプール以外に人の気配は無い





「パチン」





ヒールレバーを上げる音が静かな雪原に響く
準備を終えて見渡せば静かな美しい風景が広がっている
サラサラの雪面をスルスルと滑り出した
正面に見える剣岳の姿が目に焼きついた





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後編に続く)











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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 今まで一面ガスの中で何にも見えなかったのが、みるみる天気が回復して青空が見え出し山が見えたときって「お〜、やった〜!」って感じで良いですよね。
 しかもそれが雪山で見えたのが剣岳、周りには滑った跡の無い雪面なんて最高です。
 今年は2度山スキーに行ったけど、2度とも天気には恵まれず小雪の中のスキーで景色はありませんでした。来年はこんな景色の中滑りたいです。
IK
URL
2009/04/20 06:26
IKさま こんばんは

天候は回復に向かう予報だったのですが待っている時間はとても長かったです(笑。 雲海の上に広がる青空ほど気持ちのいいものはありませんね。 立山は何度か訪れていますが今回が一番楽しかったです。 「三度目の正直」とはよく言ったものです。

今季も多忙のためにあまり予定を立てることができませんでした。 残り少ないシーズンですがもう少し楽しみたいと思っています。
あき
2009/04/21 20:46

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